革の関税に関して思ったこと
革の関税に関して
先月、イタリアから革を輸入するということで、色々と考えさせられたことの覚書です。
まずは、関税とはなにか?というところから入りますが、単純に言えば輸入品に課せられる税金です。
その目的は海外から安く輸入される製品から、価格の高い国内の製品を守るための仕組みということです。
つまり、安いオージビーフが日本に入ってきたら、おいしいけど値段の高い国産牛肉が価格勝負で売れなくなるから高い関税かけたろってヤツです。
ちなみに革の関税は実行関税率表によると、第41類が原皮(毛皮を除く。)及び革。
(第42類はカバンや服飾になります第64類が履き物ですが、ここまでふみこんで入ってしまうと話が長くなるので、今回は省略。)
なお、第41類に関しては、恐ろしく細かく分類されており、スプリットだクラフトだの素人が読んでも何のことかがさっぱりとわからないほどの細かさです。
おそらく税関に問い合わせた時でも、専門の職員がフォーマットに則ってチェックしないと正式な分類はできないと言われましたので、どうしても知りたければ前もって革の詳細を記した資料を作成し、事前教示という形で申請してくれと言われました。
逆に事前教示さえ開示されていれば、どこで通関させようが関税率はこれで確定できるいうことです。
なお、輸出国元はさておき、基本的に革の税率は60%という高い関税がかかります。
つまり、100円で仕入れたものは関税60%と消費税が8%プラスされます。さらに送料と通関手数料がかかるので、仕入れた元値からは倍近くの結構いいお値段になるのです。
今回イタリアからこうした税関手続きをにより輸入通関させたILCEA社のカーフなのですが、実は日本の国内タンナーが、この革に品質で競合し、かろうじて関税によって需要の均衡を保っているという構図ではないのというが実情です。
そもそも近年国内ではカーフに関してはほとんど鞣されていなんじゃなかったような気もするんですが?
この様にカーフに限って言えば、海外と国内との間で、革の品質におおきな差を開けられてしまっているということです。 そもそも関税をかけてはいながら、本来守るべきはずだった産業そのものを見失っているような気がします。
例えるなら先ほどの牛肉の関税の場合とは逆の構図になっているのではないでしょうか?
高関税で割高であってもおいしい◯◯が日本に入ってきたから、ただ安いだけの大して美味くもない国産◯◯ なんて誰もほしがらない。
『単純に競合するものがない= 守るべき相手がいない』というわけではないでしょうが、極めて過度な産業の保護は却って国際的な競争力を著しく低下させているだけなので、これもどうかと思います? 高い関税をかけて自国の商品を保護するよりも、もっと他のやり方で国内の鞣し業の品質を上げることに専念すべきではなかったのか?
特に今回は革を輸入してから製品化して海外に再輸出することになるわけですが、通関に際し革にかかった関税は戻ってきません。(例外は保税工場)このシステムも考えてみれば、国内製造業の国際競争力をも低下させるだけではなかろうか?と思うんです。
短い文章で、もっと詳しく説明しなければならないことや、お前が単に知らないだけだろっていうツッコミも多々あるのですが、今回の革の通関に際して、個人的に思ったことの覚書なので異論や反論には一切とりあいませんので、ご了承ください。
※なお、関税率はきちんと経済産業省に申請すれば結構関税率は下がります。 本当に必要なのかと問いたくなるような書類を一式揃えるのは非常に面倒な作業です。 ちなみに、このことを経済産業省の係りの人に今回の不満をネチネチとボヤいてたら、文句があるなら意見書として出せと言われました、ごもっともです。 最後にハンドキャリーで入国する無申告通関は犯罪です、きちんと申告しましょう。