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害獣駆除された猪の毛を有効活用する

こんにちは。

靴職人見習いの村上です。


今回は、猪の毛について触れたいと思います。


最近、アウトソールを縫い付けるソールステッチング(出し縫い)と呼ばれる工程で猪の毛を使用しています。

ソールステッチングでは、まず出し針(スクエアオール)で糸が通るの下穴を開けます。その後、一本の糸の両端を交差させて縫い合わせます。この作業をヒールの内アゴから外アゴもしくは一周続けていくことでソールが縫い付けられます。

この時、糸の両端に猪の毛を絡ませてつけることで、下穴にすんなりと糸が通り抜けるることで、スムーズに縫い進めていくことが可能になります。ちなみに毛根側が針先の役割を果たし毛先側を糸に絡ませます。


これまでは、テグスやワイヤー等を使用していましたが、使い心地の良さにに感動しました。太さもちょうど良く、適度なハリとコシがある(※)ため、べヴェルドウェストのようなウエスト部分の縫いずらい箇所でもすんなりと針先が下穴に向かって通り抜けてくれます。この感覚は、テグスやワイヤー等ではなかったため、初めて使用した時には思わず「おお!」と声が漏れたことを覚えています。ただし、糸の先端に毛を絡ませるのに慣れるまでは、少し苦戦してしまいます。そこさえ乗り越えることができれば、集中して縫い進めることができます。何事も下準備が大切だなと思う日々です。




※靴磨きで使用するブラシでイメージすると、山羊毛や馬毛より硬く、豚毛と同じくらいもしくはもう少し硬さがある感じです。猪と豚は、分類学上は同じ種(学名はともに Sus scrofa)で、猪が家畜化されたものが豚のため、同じくらいの硬さであることに違和感はないと思います。ただし、毛の長さに大きく違いがあり、猪の毛の方が長いです。そのため、糸に絡ませる長さがありつつ、針先としての役割を果たしてくれる猪の毛の方が、ソールステッチングには最適だと考えてます。


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